“北斎の青”で空気をキレイに

-簡単に再生できるプルシアンブルー粒状吸着材で豚舎や堆肥化施設のアンモニア除去-

プルシアンブルーでアンモニア吸着体を開発

畜産業の悪臭問題の鍵を握るアンモニア対策

現大気中に放出されたアンモニアはPM2.5など地球規模での環境問題の一因となっている。日本では、大気中に放出されるアンモニアの60 %以上が畜産業(1994年度)によるものであり、畜産業界では、周囲への悪臭対策などの観点から、アンモニアの除去が求められている。これまで畜舎や家畜ふん尿の堆肥化施設から排出される悪臭物質の除去技術として生物脱臭法であるバイオフィルターや土壌脱臭が一部の施設に導入されているが、多量のアンモニアを処理するには大型化・大面積化が必要であり、よりコンパクトな装置が求められていた。加えて、畜舎内環境改善による生産効率の向上も期待されている。

70種以上もの合成からたどり着いた銅プルシアンブルー

今回、豚舎で用いることを念頭に、再利用ができ低コストのアンモニア吸着材の開発を目指し、70種類以上のプルシアンブルー類似体を合成し、評価した結果、二種の鉄イオンのうち一方を銅イオンに置き換えたプルシアンブルー類似体(銅プルシアンブルー)が適切であった。続いて、銅プルシアンブルーを装置に取り付けて効率的に大気中のアンモニアを吸着させるため、銅プルシアンブルー粉体をバインダーと混合し、粒状化して、直径3~5 mm程度の粒状吸着材を開発した。粒状吸着材に求められる特性は、高い吸着性能と十分な機械強度を持ち、再生作業時に破損しないことであり、これらを検証した。

家畜の快適な暮らしが発育向上へ

今後も豚舎内のアンモニア除去を続け、豚の発育効率の向上効果を評価する。さらに、回収したアンモニアを肥料など、他の用途に利用する方法も併せて検討を進める。